「最近、咳がなかなか止まらない…もしかして風邪が長引いているだけ?」そう思っている方もいるかもしれません。しかし、長引く咳の原因は風邪だけではない可能性があります。今回は、意外な咳の原因となる「逆流性食道炎」と「食道裂孔ヘルニア」について解説し、咳を改善するための食生活や生活習慣のヒントをご紹介します。
咳が止まらない?それは逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアのサインかも
逆流性食道炎とは、胃酸が食道に逆流することで食道粘膜に炎症が起こる病気です。一方、食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が横隔膜の食道が通る穴(食道裂孔)から胸腔内に出てしまう状態を指します。
これらの病気が、なぜ咳を引き起こすのでしょうか?
逆流性食道炎と咳の関係
胃酸が食道に逆流すると、その刺激が食道を通る神経を介して気管支に伝わり、咳反射を引き起こすことがあります。また、逆流した胃酸が気道を直接刺激することも、咳の原因になると考えられています。特に、以下のような症状がある場合は、逆流性食道炎による咳の可能性があります。
- 食後や横になると咳が出やすい
- 喉にイガイガ感や異物感がある
- 声がかすれる
- 胸やけや酸っぱいものがこみ上げてくる
- 痰が絡まない乾いた咳が続く
食道裂孔ヘルニアと咳の関係
食道裂孔ヘルニアは、胃酸の逆流を引き起こしやすくするため、間接的に逆流性食道炎による咳を助長する可能性があります。ヘルニアによって胃の機能が低下し、胃酸のコントロールが難しくなることもあります。
薬だけに頼らない!食生活と生活習慣で咳を改善する方法
病院での治療はもちろん大切ですが、日々の食生活や生活習慣を見直すことでも、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアによる咳の改善が期待できます。
食生活の改善ポイント
- 胃酸の分泌を抑える食事を心がける:
- 脂肪分の多い食事、甘いもの、柑橘類、アルコール、カフェイン、炭酸飲料は控えめにしましょう。
- 香辛料や酸味の強いものも刺激になるため注意が必要です。
- 消化の良い食事をゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。
- 就寝前の食事は避ける: 寝る2~3時間前からは食事をしないようにしましょう。
- 食べ過ぎに注意: 腹八分目を心がけ、胃に負担をかけないようにしましょう。
水について:
- 水を飲むことで、胃酸が薄まったり、食道に残った胃酸を洗い流したりする効果が期待できます。これにより、逆流の症状が和らぐ場合があります。
白湯(さゆ)について:
- 食前にコップ1杯程度の白湯(60℃くらいのお湯)を飲むことが良いです。
- 白湯を飲むと胃が温まり、血流が改善され、胃の働きが活発になると考えられています。これにより、消化が促進され、症状の改善や予防につながる可能性があります。
生活習慣の改善ポイント
- 寝る時は上半身を高くする: 枕を高くしたり、上半身全体を少し高くしたりする工夫で、寝ている間の胃酸の逆流を防ぎます。
- 食後すぐに横にならない: 食後2~3時間は横になるのを避け、座った姿勢を保つようにしましょう。
- 肥満を解消する: 肥満は腹圧を上げ、逆流を助長する可能性があります。適度な運動で体重をコントロールしましょう。
- 禁煙する: 喫煙は下部食道括約筋の機能を低下させます。
- 腹部を締め付ける服装を避ける: ベルトやガードルなど、お腹を強く締め付ける服装は避けましょう。
- ストレスを溜めない: ストレスは胃酸の分泌を不安定にする可能性があります。適度な休息やリフレッシュを取り入れましょう。
最後に
今回は、逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアが原因で起こる咳と、その改善のための食生活や生活習慣についてご紹介しました。なかなか止まらない咳にお悩みの方は、今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ生活習慣を見直してみてください。
ただし、これらの対策はあくまで症状の緩和を目的としたものです。症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしてください。
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