PMに向いている人・向いていない人の特徴とは?適性と育成方法を考える

PMに向いている人の特徴を解説するアイキャッチ画像。ITプロジェクトの会議風景と「責任感・判断力・交渉力がカギ」の文字 ●仕事・働き方
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PM(プロジェクトマネージャー)に向いている人・向いていない人の特徴と、PMの育成方法について考えた話です。

私はITインフラの仕事をしていますが、プロジェクトを管理できる人を増やすことの難しさを感じています。

PMは、スケジュールや課題、関係者との調整などを通じて、プロジェクト全体を管理する役割です。

技術力が高い人が、必ずしもPMに向いているとは限りません。反対に、技術にそれほど詳しくなくても、PMとして活躍できる人はいると思います。

ただ、現場ではもう一つ難しい問題があります。

メンバーが、その人をPMとして認めてくれるかどうかです。

さらに、技術には興味があっても、マネジメントやビジネスにはあまり関心がない人も多いです。

今回は、PMに必要な能力や向き不向きを整理しながら、実際の仕事で感じていることも交えて考えてみます。

PMに向いている人の特徴は?

PMに向いている人は、必ずしも技術力が高い人や、強いリーダーシップを発揮する人とは限りません。

IPA(情報処理推進機構)のプロジェクトマネージャ試験でも、プロジェクトの計画や実行、リスクへの対応、関係者との調整などが重要な役割として示されています。

参考:IPA:プロジェクトマネージャ試験

こうした役割を踏まえると、私が重要だと思うのは次の5つです。

  • 責任を持って仕事を進められる
  • 問題を放置せず、自分から動ける
  • 必要な場面で判断できる
  • 人の話を聞き、関係者と調整できる
  • 先を見てリスクを考えられる
  • 契約範囲を理解し、交渉できる

責任を持って仕事を進められる

PMに必要なのは、すべての問題を自分で解決することではありません。

問題が起きたら状況を確認し、担当者を決め、解決に向けて動くことです。自分だけで判断できない場合は、上司や関係者に相談しても構いません。

問題を他人事にせず、解決まで進めようとする姿勢が大切だと思います。

問題を放置せず、自分から動ける

プロジェクトでは、予定どおりに進まないこともあります。

作業の遅れや仕様の不明点など、問題が起きるたびに誰かの指示を待っていては、対応が遅れてしまいます。

問題に気づいたら、自分から確認し、必要な人に働きかける。こうした主体性は、PMにとって重要だと思います。

必要な場面で判断できる

PMには、さまざまな場面で判断が求められます。

ただし、何でも一人で決めればよいわけではありません。

判断に必要な情報を集め、関係者と相談し、期限までに結論を出すことが大切です。自分に決定権がない場合は、適切な人に判断を求めることも必要になります。

人の話を聞き、調整できる

PMは、顧客、営業、SE、協力会社など、立場の異なる人たちと仕事を進めます。

技術的に正しいことでも、予算や納期の都合で実現が難しい場合があります。

相手の話を聞き、意見を整理しながら、合意できる方向を探す力が必要です。

先を見てリスクを考えられる

問題が起きてから対応するだけでなく、問題が起こりそうな段階で対策を考えることもPMの仕事です。

例えば、作業が特定のメンバーに集中していたり、納期に余裕がなかったりする場合です。

早めに気づいて対応できれば、大きなトラブルを防げる可能性があります。

契約範囲を理解し、交渉できる

PMにとって、契約範囲を把握し、必要に応じて交渉できることも重要だと思います。

例えば、お客さんから追加作業を依頼された場合、それが契約範囲に含まれるのかを確認する必要があります。

契約範囲外だからと単純に断るのではなく、お客さんの要望を理解したうえで、追加費用や納期への影響を整理し、対応方法を調整することが大切です。

もちろん、契約変更や金額の決定は、営業などの関係者と協力して進める場合もあります。

PMには、契約範囲を理解するだけでなく、お客さんと現実的な落としどころを探る交渉力も必要だと思います。

契約内容によって、受注後に抱えるリスクも変わります。請負契約と準委任契約の違いや、契約を選ぶときの考え方については、請負でリスクが高すぎる仕事が来たとき、どう契約する?でもまとめています。

PMに向いていない人の特徴は?

反対に、PMとして苦労しやすいのは、次のような行動が続く人だと思います。

  • 問題が起きても自分から対応しない
  • 判断を求められても結論を出そうとしない
  • 自分の担当範囲以外に関心を持たない
  • 関係者との調整を避ける
  • 都合の悪い情報を報告しない

ただし、こうした行動が見られたからといって、すぐにPMに向いていないと決めつけるべきではありません。

経験不足や、役割・権限が曖昧なことが原因の場合もあるからです。

責任を持って行動できない人はPMに向いていない?

私が特に気になるのは、責任を負うことを避けようとする人です。

例えば、問題が起きたときに「自分の担当ではない」と距離を置いたり、判断が必要な場面で誰かに任せきりにしたりするケースです。

PMは、失敗したときに一人ですべての責任を取る人ではありません。

問題を把握し、必要な報告や調整を行い、解決に向けて進める役割です。

そのため、問題への対応を避ける行動が続く人は、PMとして苦労する可能性があります。

自分で判断しようとしない人はPMに向いていない?

PMには、判断が必要な場面が数多くあります。

私が気になるのは、判断に迷う人よりも、責任を負いたくないために、自分で決めようとしない人です。

例えば、問題が起きても自分の考えを示さず、判断をすべて上司や他のメンバーに任せてしまうケースです。

もちろん、PMが何でも一人で決める必要はありません。自分の権限を超える問題なら、上司や関係者に相談することも必要です。

ただ、その場合でも、状況や選択肢を整理し、自分なりの考えを持って相談することが大切だと思います。

判断の結果に責任を持とうとせず、決めること自体を避け続ける人は、PMとして苦労するのではないでしょうか。

PM(プロジェクトマネージャー)の役割とは?

ここで、PMの仕事内容を簡単に整理しておきます。

PMは、プロジェクトの目標を達成するために、全体を管理する役割です。

主な仕事には、次のようなものがあります。

管理する項目主な仕事内容
スケジュール工程を計画し、進捗を確認する
コスト予算や作業工数を管理する
品質必要な品質を満たせるよう管理する
作業範囲何を実施し、何を実施しないか整理する
リスク問題が起こる可能性を把握し、対策する
課題発生した問題の担当者や期限を管理する
関係者との調整顧客や社内メンバーと合意形成する

プロジェクト管理では、問題・課題・タスク・リスクといった言葉もよく使います。それぞれの違いについては、問題・課題・タスク・リスクの違いを考えた記事でも紹介しています。

実際の担当範囲は、プロジェクトの規模や会社の体制によって異なります。

小規模な案件では、SEがPMを兼任することもあるでしょう。

PMとPLの役割や、PMOとの違いについては、以前書いたプロジェクトマネージャーになるには?スキルと気質でも紹介しています。

PMに高い技術力は必要?

私は、PMと技術専門職は別のキャリアだと考えています。

PMが、メンバーの誰よりも技術に詳しい必要はありません。

例えば、サーバー構築のプロジェクトなら、詳細な設計や技術判断は、その分野に詳しいSEに任せる方法もあります。

PMは、作業が予定どおり進んでいるか、問題が発生していないか、関係者の認識が合っているかを管理します。

ただし、技術をまったく理解しなくてもよいという意味ではありません。

技術的な問題が納期や品質にどう影響するかを理解し、適切な人に相談できるだけの基礎知識は必要だと思います。

重要なのは、次のようなことができるかです。

  • お客さんの要望を理解し、技術者に伝えられる
  • 技術者の説明を理解し、お客さんに分かりやすく説明できる
  • 技術的な問題が納期・費用・品質に与える影響を把握できる
  • 自分で判断できない技術的な問題は、PLやSEに確認できる

技術力が高いSEならPMにも向いている?

技術力が高いことと、PMに向いていることは別です。

専門分野では優秀でも、他のメンバーとの調整や進捗管理を好まない人もいます。

技術的な課題を解決する仕事と、プロジェクト全体を管理する仕事では、求められる能力が違います。

だからこそ、技術力が高い人を自動的にPM候補にする必要はないと思います。

技術専門職として活躍する道があってもよいはずです。

年配や技術力の高い人の方がPMをやりやすい?

ここは、私が現場で気になっているところです。

PMと技術専門職は別の役割だとしても、メンバーがそれを理解し、認めてくれるかは別問題ではないでしょうか。

例えば、技術経験の浅い若手PMが、経験豊富なベテランSEに作業を依頼する場面です。

PMとして必要な依頼でも、相手が納得してくれるとは限りません。

そう考えると、技術力が高い人や経験豊富な年配の人の方が、メンバーをまとめやすい場面もあるように感じます。

もちろん、年齢が高ければPMに向いているわけではありません。

年齢そのものより、これまでの経験や信頼関係、相手を納得させる力が影響するのだと思います。

PMとして必要な能力と、メンバーからPMとして認めてもらうための条件は、必ずしも同じではない。

ここが現実の難しいところだと感じています。

PMはSEより営業に近い仕事?

私は、PMの仕事にはSEより営業に近い部分も多いと感じています。

契約範囲を理解し、追加作業について交渉したり、費用や納期を調整したりする仕事は、営業と共通する部分があります。

ただし、PMは案件を受注することではなく、受注したプロジェクトを成功させることが主な役割です。

技術的な課題を理解しながら、顧客との約束や採算も考えてプロジェクトを進める必要があります。

PMは、技術とビジネスの橋渡しをする仕事なのかもしれません。

PMは育成できる?全員がPMになれる?

私は、PMに必要な能力の多くは、教育や経験によって伸ばせると思っています。

例えば、スケジュール管理や課題管理、リスク管理の方法は学習できます。

関係者との調整や判断についても、小さな案件から経験を積むことで上達する可能性があります。

ただし、研修を受ければ誰でもPMになれるとは限りません。

特に、本人がPMの仕事を希望しているか、責任を持って取り組もうとしているかは確認したいところです。

技術が好きでも、PMの仕事に興味がない人はいる

ITインフラの仕事をしていると、技術には強い関心があっても、マネジメントやビジネスにはあまり興味がない人がいると感じます。

新しい技術を学んだり、難しい問題を解決したりすることには積極的でも、スケジュール管理や顧客との調整には、それほど関心がないという人です。

私の周りでも、こうした人は多いです。

ただ、技術が好きなことと、PMに向いていないことは別だと思います。

PMの仕事には、自分で技術的な問題を解決するのとは違い、関係者と協力しながらプロジェクトを完成させる達成感があります。

実際に経験することで、そうした仕事にやりがいを感じる人もいるかもしれません。

一方で、本人が望んでいない仕事を無理に任せても、うまくいくとは限りません。

PMを育成するには、能力だけでなく、本人の興味や意欲も確認する必要がある。

技術専門職として成長したい人には、その道を用意しながら、マネジメントにも関心を持てる人を育てていくことが大切だと思います。

技術者は「自分で解決できた」という達成感が大きい一方、PMは「自分一人ではできないことを、チームで実現できた」という達成感があるのだと思います。

技術の面白さマネジメントの面白さ
難しい技術課題を解決する複雑な問題を整理して解決に導く
新しい技術を習得する人や組織を動かして成果を出す
自分の技術力を高めるメンバーの成長を支援する
システムを完成させるプロジェクト全体を成功に導く

PM候補は何を見て選ぶ?

私なら、技術力だけでなく、普段の仕事で次のような行動ができているかを見ます。

  • 依頼された仕事を最後まで進めようとする
  • 問題があれば早めに報告する
  • 分からないことを自分から確認する
  • 他のメンバーと協力できる
  • 必要な判断を放置しない
  • PMの仕事に取り組む意思がある

一度の印象ではなく、複数の仕事を通じて確認することが大切だと思います。

PMを増やすために組織ができること

PMを増やすには、本人を育成するだけでなく、PMが仕事をしやすい環境をつくる必要があります。

プロジェクト数が多い職場では、PMを決めていても、その役割や権限をメンバー全員に十分伝えられていないことがあります。

この状態では、特に経験の浅いPMがメンバーをまとめるのは難しいかもしれません。

PMとPLの役割を明確にする

PMとPL(プロジェクトリーダー)の役割は会社によって異なりますが、例えば次のように分担する方法があります。

役割主な担当
PM工程・進捗・課題・顧客調整など
PL技術方針・設計・技術的な課題への対応など

例えばWBSを作成する場合、PMが全体の管理に責任を持ち、PLやSEが技術的な作業を洗い出すという分担が考えられます。

PMが技術的な作業をすべて理解している必要はありませんが、作業の抜け漏れやスケジュールへの影響を確認することは必要です。

WBSの全体責任はPM、技術的な中身はPLを中心に作成というイメージです。

担当範囲を明確にしておけば、PMが技術判断まで一人で抱え込む必要はなくなります。

PMの任命をメンバーに共有する

案件管理表やキックオフ資料、最初のメールなどにPMとPLの名前や役割を明記する方法が考えられます。

毎回説明しなくても、共通のルールとして役割を理解してもらえる状態をつくるわけです。

例えば、私ならまず体制図にPMとPLを明記し、工程管理はPM、技術判断はPLという基本的な役割分担を共通ルールにするところから始めます。

ただし、実際の担当範囲は案件ごとに調整する必要がありますし、名前を記載するだけでメンバーからの信頼が得られるわけではありません。

意見が対立した場合に、課長などの管理職が支援する仕組みも必要だと思います。

小さなプロジェクトから経験を積ませる

最初から大規模な案件を任せるのではなく、小規模でリスクの低い案件から経験を積ませる方法もあります。

まずは工程管理や課題管理を担当してもらい、慣れてきたら顧客調整や判断の範囲を広げる。

そして、案件が終わったら、うまくいったことと改善点を振り返ります。

こうした経験を繰り返すことで、PMとしての能力を育てられるのではないでしょうか。

PMと課長は似ている?違いは何?

ITインフラの仕事を大きく分けると、技術を追求する専門職と、人や仕事を管理するマネジメント職という2つの方向性があると思います。

もちろん、両方の役割を担う人もいますが、求められる能力や仕事の面白さは異なります。

PMと課長は、どちらもマネジメント寄りの仕事です。ただし、PMはプロジェクトを管理し、課長は組織や人材を管理するという違いがあります。

比較項目PM課長
管理対象プロジェクト組織・部署
主な目標案件の目標達成組織の成果と成長
管理するもの工程・品質・コスト・課題など人員・業績・育成・業務など
活動期間プロジェクトの期間継続的

PMも課長も、責任感や判断力、調整力が必要です。

ただ、PMとして優秀な人が必ずしも課長に向いているとは限りませんし、その逆も同じだと思います。

PMが仕事を進めやすい環境をつくるには、管理職が役割や責任を明確にすることも必要です。以前、曖昧な指示や役割分担が組織に与える問題についても考えました。

まとめ

PMに向いている人・向いていない人について考えてみました。

私が特に重要だと思うのは、技術力よりも、責任を持って仕事を進める姿勢や、問題を放置せずに行動する力です。

一方で、現場では技術力や経験が、メンバーからの信頼につながることもあります。

さらに、技術に興味があっても、マネジメントやビジネスには関心が薄い人もいます。

そのため、PMの適性だけを見て任命しても、うまくいくとは限りません。

PMの役割を明確にし、メンバーが協力できる環境を整えることも必要です。

また、PMに必要な能力は経験によって伸ばせる部分もありますが、全員をPMにする必要はないと思っています。

技術専門職として活躍したい人には、その道があってもよいはずです。

PMを増やすために大切なのは、向いている人を見極め、本人の意欲を確認し、経験を積ませ、組織として支えること。

単にPMを任命するのではなく、PMが仕事を進めやすい仕組みまで考えていきたいと思います。

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