隣地に土地の一部を売ることになり、実際に分筆から売却まで経験した話です。
私の場合、自分から土地を売りに出したわけではありません。
隣地の方から「通路を広げたいので、土地の一部を売ってもらえないか」と相談されたのが始まりでした。
話し合いの結果、最終的に売却したのは、私の土地のうち幅約0.5m×長さ約10m、約5㎡です。
最初は「土地を少し売るだけ」と考えていましたが、実際には分筆、境界、住宅ローン、登記など、思っていた以上にいろいろな手続きがありました。
そもそも私は、今回の話が出るまで「土地家屋調査士」という職業があることすら知りませんでした。
さらに見落としていたのが、住宅ローンの抵当権です。
土地の一部を隣地に売ると、実際にどんな手続きが必要になるのか。
私の実体験をもとに紹介します。
土地の一部を隣地に売ることになった経緯
今回、土地を売ることになった隣地にはアパートが建っています。
いわゆる旗竿地で、道路からアパートへ入る通路の幅は約2.5mでした。
この通路を普段使うのは主に入居者です。
入居者が使いやすいように通路を広げたいので、私の土地の一部を売ってもらえないかという話でした。
最初から「50cm売ってほしい」と決まっていたわけではありません。
そこから、どのくらいの幅を売るのか、価格をどうするのかなどを話し合いました。
私としては特に売りたい土地ではなかったので、最初は貸す方法も考えました。
ただ、相手からは購入したいという希望があり、話し合った結果、幅約0.5m×長さ約10m、約5㎡を売却することで合意しました。
その結果、相手側の通路は約2.5mから約3.0mになりました。
交渉の結果、約50cmを売ることになった
50cmと聞くと、それほど大きな違いではないようにも感じます。
ただ、実際に工事が終わってみると、想像していた以上に印象が変わりました。
相手側の通路は約2.5mから約3.0mへ。
一方、私の土地は約50cm狭くなりました。
約10mにわたって境界が50cm動くので、こちらから見ても結構印象が違います。
話をしていたときは「たった50cm」とも思いましたが、実際に変わってみると、
「50cmって意外と大きいな」
というのが率直な感想でした。
土地の一部を売るには「分筆」が必要だった
土地の一部だけを売る場合、その部分を切り分けて別の土地にする必要があります。
これが「分筆」です。
今回なら、自宅の土地から約5㎡を分け、その部分を隣地の方へ売却します。
ただ、当時の私は、
「土地の一部を売るには誰に頼めばいいの?」
というところから分かりませんでした。
不動産の話なので、最初に思い浮かんだのは不動産会社です。
ところが、実際に分筆を進めてくれたのは「土地家屋調査士」という専門家でした。
土地家屋調査士って何?司法書士との違いも知らなかった
今回の話が出るまで、私は土地家屋調査士という職業そのものを知りませんでした。
司法書士という名前は知っていましたが、土地家屋調査士との違いも分かりません。
実際に経験してみて、ようやくそれぞれの役割が分かりました。
私なりに簡単に整理すると、
- 土地家屋調査士:土地を測り、境界を確認して分筆する
- 司法書士:所有権移転など、権利に関する登記をする
- 不動産会社:土地の売買を仲介する
という違いです。
私には、
土地を「分ける」のが土地家屋調査士さん、分けた土地の「所有者を変える」のが司法書士さん
と考えると分かりやすかったです。
土地家屋調査士と司法書士は相手方が手配
土地家屋調査士さんと司法書士さんは、私が探したわけではありません。
交渉の結果。相手方が手配し、費用も相手方が負担しました。
私は売主として、説明を受けたり、必要な書類を用意したりしながら手続きを進めました。
今回は最初から買主が決まっていたため、不動産会社による仲介も利用していません。
価格や売却条件については、相手方と直接話し合いました。
もともと境界の中央にブロックがあった
売却前から、隣地との境界にはブロックがありました。
ただ、そのブロックは境界線の中央に設置されていました。
中央にあると、どちらか一方の判断で自由に変更しにくいんですよね。
私としては、いつか自宅の外構をやり直して、境界もしっかりさせたいと思っていました。
今回、土地を売却して境界そのものが変わることになったため、境界ブロックについても相手方と話をしました。
土地の価格はどう決めた?|隣地売買で考えたこと
土地の価格を決めるときには、
- 土地を購入したときの価格
- 固定資産税評価額
- 近隣で売りに出ている土地の価格
などを参考にしました。
ただ、今回は私から売りたいと言った土地ではありません。
相手から「アパートへ続く通路を広げたいので売ってほしい」と頼まれた土地です。
面積としては約5㎡ですが、相手側から見ると、アパートへの通路を広げられる土地でもあります。
そのため、単純に「周辺の坪単価×面積」だけでは決めにくい土地だと感じました。
そして何より、私は積極的に売りたいわけではありませんでした。
元々の買値や固定資産税評価額、近隣の土地価格を参考にしながら、「この金額なら自分も納得して売れる」と思える金額を考えました。
最終的には、双方が納得できる金額で合意しました。
個人間売買でも合意書を作っておいてよかった
今回は不動産会社を通さない直接取引でした。
正式な売買契約書という形ではありませんでしたが、口約束だけにするのは不安だったため、土地の売買について合意書を作成しました。
売却する土地や売買金額、費用負担など、相手方と話し合って決めた内容を書面に残しました。
作ったときは、
「個人間の売買だし、決めたことを残しておこう」
くらいの感覚です。
ところが、実際に手続きを進めてみると、この合意書が後々役に立ちました。
住宅ローンを借りている金融機関へ相談したときにもコピーを提出しましたし、司法書士さんにもコピーを渡しました。
結果として、相手方との約束を残すだけではなく、今回の売買内容を金融機関や司法書士さんに伝える資料としても使うことになりました。
今回については、合意書を作っておいてよかったと思います。
住宅ローンの抵当権まで考えていなかった
一方、今回私が見落としていたのが住宅ローンの抵当権です。
私の場合、住宅ローンの担保として自宅の土地に抵当権が設定されていました。
その土地の一部を分筆して売るため、住宅ローンを借りている金融機関との手続きも必要になりました。
今になって考えれば当たり前なのですが、当時はそこまで考えが回っていませんでした。
頭にあったのは、売却する範囲や価格、境界、分筆などのことばかりです。
相手方と条件を話し合い、合意書を作った後に金融機関へ相談しました。
そこで初めて、住宅ローンの契約条件変更が必要になることや、手数料が発生することが分かりました。
金融機関で住宅ローンの契約条件変更が必要になった
私の場合、金融機関とのやり取りでは、
- 双方の印鑑を合意書に押す
- 双方の印鑑証明書を用意する
- 分筆後の地番を記載する
- 売買代金を住宅ローンの繰上返済に充てる
といった話がありました。
繰上返済については、私の場合は「努力義務」という説明でした。
分筆後の地番についても確認がありました。
これはあくまで、私が住宅ローンを借りている金融機関での実例です。
金融機関や住宅ローンの契約内容によって必要な手続きは違うと思うので、同じようなケースでは事前に確認した方がいいと思います。
合意後に追加費用が分かった
住宅ローンの契約条件を変更するための手数料も発生しました。
これも当初は想定していませんでした。
一度、相手方と売却価格や費用負担について話がまとまった後だったので、追加で費用の話をするのは結構ストレスでした。
しかも相手は隣地の方です。
土地を売ったら関係が終わるわけではなく、これからも隣同士で生活していきます。
合意書を作っておいたこと自体はよかった。
ただ、合意書を作る前に住宅ローンを借りている金融機関へ相談しておけば、もっとスムーズだったと思います。
今なら、
金融機関へ相談 → 必要な手続きや費用を確認 → 相手方と最終的な条件を決める → 合意書を作る
という順番で進めます。
最終手続きは金融機関の打ち合わせ室で行った
分筆や住宅ローン関係の調整が終わり、最後は金融機関の打ち合わせ室に関係者が集まりました。
当日は、私と買主、土地家屋調査士さん、司法書士さんが参加。
司法書士さんが中心になって手続きを進めました。
最終手続きで持っていったもの
私が当日持っていったのはこちらです。
- 合意書
- 土地の権利証または登記識別情報
- 印鑑証明書
- 本年度の固定資産税の納税通知書
- 身分証
- 実印
これは今回、私が実際に用意したものです。
取引内容によって必要なものは違うと思うので、実際に売却するときは担当する司法書士さんなどに確認してください。
「土地の権利証・登記識別情報ってどれ?」で困った
持ち物の中で、一番分からなかったのが「土地の権利証または登記識別情報」です。
「持ってきてください」と言われても、
「それって、どの紙?」
という状態でした。
家を購入したときにもらった書類はまとめて保管していましたが、その中のどれが該当するのか分かりません。
準備の段階でも確認しましたし、当日も司法書士さんに、
- 「なくしたらどうなるんですか?」
- 「どの部分が重要なんですか?」
など、いろいろ聞きました。
それまでは、家を買ったときにもらった大量の書類の一つくらいに考えていました。
土地を実際に売ってみて、初めて大切なものだと実感しました。
家を購入したときの書類は、後から分かるようにまとめて保管しておいた方がいいですね。
土地の一部を売った場合の税金は?
最後に残っているのが税金です。
土地を売った場合、基本的には売却による収入金額から取得費や譲渡費用などを差し引いて、譲渡所得を計算します。
私の場合は土地全体ではなく、その一部だけを売却しています。
そのため、購入当時の資料や今回の分筆後の面積などを確認しながら、翌年の確定申告をする予定です。
今回、土地家屋調査士さんや司法書士さんの費用は相手方が負担しました。
私自身が支払った費用ではないため、自分が負担した譲渡費用として計算するつもりはありません。
一方、住宅ローンの契約条件変更に関する手数料を税務上どう扱うのかについては、確定申告前に確認するつもりです。
ここは自己判断せず、実際に確認できたら記事にも追記します。
土地の一部を隣地に売った実際の流れ
今回、私が実際に進めた流れを最初から並べると、こんな感じでした。
- 隣地から「通路を広げたいので土地を売ってほしい」と相談される
- 売却する範囲や価格を話し合う
合意書を作成 - 相手方が土地家屋調査士さんを手配
- 測量
- 境界確認
- 分筆
- 住宅ローンを借りている金融機関へ土地売却について相談
- 住宅ローンの契約条件変更
- 追加手数料が分かり、費用について再び相談
- 相手方が手配した司法書士さんと登記手続きを進める
- 金融機関の打ち合わせ室で最終手続き
- 売買代金を受け取り、領収書を渡す
- 所有権移転などの登記手続き
- 住宅ローンを繰上返済
- 相手方の工事が始まる
- 翌年、譲渡所得について確定申告
約5㎡の土地を隣地へ売るだけでしたが、こうして並べてみると結構な手続きでした。
なお、これは私が実際に進めた順番です。
今振り返ると、2の「合意書を作成」より前に、4の「金融機関へ相談」をしておけばよかったと思います。
住宅ローンが残っている土地なら、金融機関へ先に相談して、抵当権に関する手続きや費用を確認してから相手方と最終的な条件を決める。
言われてみれば当たり前なのですが、今回実際に土地の一部を売ってみて気づいたことです。
一方で、合意書を作っておいたこと自体はよかったです。
金融機関にも司法書士さんにもコピーを渡すことになり、その後の手続きでも役に立ちました。勉強になりました。
まとめ
今回は、自宅の土地の一部を隣地へ売却した話でした。
相手側にはアパートが建っていて、入居者が使いやすいように通路を広げたいという相談がきっかけです。
最初から売却する幅が決まっていたわけではなく、そこから範囲や価格を話し合い、最終的に幅約0.5m×長さ約10m、約5㎡を売却しました。
たった50cmですが、約10mにわたって境界が動くと、思っていた以上に印象が変わります。
今回の売却をきっかけに、以前から気になっていた境界ブロックも整理できました。
また、合意書を作っておいたことは、その後の金融機関や司法書士さんとの手続きでも役に立ちました。
一方で、一番の反省点は住宅ローンの抵当権まで最初に考えていなかったことです。
合意書を作った後に金融機関へ相談したため、契約条件変更や追加費用が後から分かりました。
今なら、まず住宅ローンを借りている金融機関へ相談してから、最終的な売却条件を決めます。
土地の一部を隣地へ売るだけでも、分筆、境界、合意書、住宅ローン、登記と、やることは意外とたくさんありました。
同じように「隣地から土地の一部を売ってほしい」と言われた方に、私の経験が少しでも参考になればと思います。
あとは翌年の確定申告です。
実際に申告が終わったら、譲渡所得や税金についてもこの記事に追記したいと思います。


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